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錦織圭に次ぐ若さで坂本怜がプロ初優勝 18歳の「ビビラー」が超攻撃スタイルへと豹変したわけ (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

【「ビビラー」であり「イケイケ系」】

「守っていては、勝てないどころか試合にもならない」

 その衝撃こそが、「シコラー」が攻めに転じた契機。「攻めを選んだというより、ほかに選択肢がなかった」とも坂本は打ち明けた。背水の陣に追い込まれ、窮鼠(きゅうそ)猫を噛む境地だったのかもしれない。

 そして結果的にこの決断は、劇的な成長へのターニングポイントとなる。

 サーブとフォアで攻めに攻め、坂本が全豪オープンジュニアを制したのは、今年1月のこと。その変化は錦織圭をも「短期間でここまで大きく変わることがあるのか」と驚かせたほどだった。

 この転換期を坂本は、「もともとはチキンなので、今、フォアで打てているのが信じられないくらい」だと振り返る。

 自身を「ビビラー」とも形容するが、そのビビラーが超攻撃スタイルへと豹変したわけは、おそらくは坂本が有するもうひとつの顔にある。それは本人いわく「すぐ天狗になってしまう、イケイケ系」の一面。彼のなかに共存する「チキン」と「イケイケ系」の融合こそが、覚醒的成長の源泉だろう。

 完敗のショックを急成長のトリガーとするプロセスは、今回の四日市チャレンジャー優勝の起点にも存在した。それはプロ転向直後の9月末に出場した、ジャパンオープンの予選。有明コロシアムに組まれた一戦で、坂本は当時88位のルカ・ナルディ(イタリア)に3-6、1-6で敗れた。

「ものすごく緊張していて、最後まで頭が真っ白だった」

 試合後は目に涙も浮かべ、プロデビュー戦の苦みを噛みしめていた。

 この敗戦でフットワークとフィジカルの向上の必要性を痛感した坂本は、チームスタッフたちの指導の下、改革に取り組んだ。

 今大会にも帯同したデビスカップ強化プロジェクトコーチの綿貫敬介は、「ウォームアップも含め、フィジカルの強化に努めてきた」という。そのうえで、走り込みや守備の練習に多くの時間を割いた。

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