錦織圭が挑むテニス界の新秩序。新時代の扉を開けてから8年後、同じ全米OPで最年少19歳の世界1位が誕生した

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

錦織圭にテニスの未来を見た

 ちなみに最近、イタリアが多くの有望な若手を輩出する背景にテニス専門チャンネル『スーパーテニス』の影響があるというのは、イタリア記者たちに共通する見解だ。同チャンネルは2008年にイタリアテニス協会によって設立され、男女ツアー大会や国別対抗戦を常に放映している。幼少期からビッグ4を中心とした超絶プレーをテレビで見て、彼らに憧れ育ったのがシナーたちの世代だ。

 そんなふたりの対戦は、まさにナダル対フェデラーや対ジョコビッチを彷彿とさせ、同時に新時代の息吹をスタジアム中に散布する。明日のことなど頭になく、今この瞬間にすべてをかけるかのような一途な熱は、若さの特権的魅力だ。

 試合が終わった時、時計の針は0時をとうに過ぎて、2時50分を指す。これは大会史上"最も遅く終わった試合"の新記録。なお、それ以前の記録は、2014年4回戦の錦織圭対ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)戦である。当時24歳対23歳の死闘に、ファンはテニス界の未来を見ていた。

 そのラオニッチもケガのため、ツアーを離れて久しい。ビッグ4とワウリンカも、各々がケガなどを抱え、全員が顔を揃えることは稀になった。

 今年1月に股関節にメスを入れた錦織は、復帰予定時期だった「今夏」が過ぎ、最後にコートに立ってから11カ月が経とうとしている。

 大挙する新世代が、ひとつの時代に幕を引こうとしているのは、間違いない。

 ただ、今年の4大大会のうち、全米以外の3大会をナダルとジョコビッチで分け合っているのも、現然たる事実だ。3年前の人工股関節の大手術を経たマリーは、今大会の1回戦で世界27位、24歳のフランシスコ・セルンドロ(アルゼンチン)相手に、実に5年ぶりとなるグランドスラムでのストレート勝利を勝ち取っている。最終的に3回戦で第4シードのマッテオ・ベレッティーニ(イタリア/26歳)に敗れたマリーは、「自分がどこまで行けるのか試したい。それが今の僕のモチベーションだ」と前を向いた。

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