大坂なおみ、現在38位でも「来年には再び世界1位」の自信。今季後半戦でランキング急上昇の青写真 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

シードがいかに重要か実感

 サーブの安定感に欠きながらもストロークで対抗し、第1セットの終盤に追いつけたのは、小雨による重いコンディションの恩恵かもしれない。実際にアニシモバも、「私にとっては不利な天候だった」と認めている。

 ただ、3年前の同大会ベスト4進出者は「ナオミが重いボールで攻めてくるのは予想できていた。それでも私はフラットショットで攻め続けた。それこそが自分の持ち味だから」と明言する。「実戦不足で大切な場面で大きな判断ミスをした」と嘆く大坂とは、対照的な姿だった。

 最終スコアは、5−7、4−6。結果だけ見れば、2019年のウインブルドン以来のグランドスラム初戦敗退となった。

 それでも大坂は、2カ月前のマイアミで口にした「来年には世界1位に返り咲く」という目標を、「野心的」としながらも否定はしなかった。

「しっかり練習して、今年が終わる頃には、目標に近づいていたい」

 そうとも彼女は続けている。

 その目標達成のために、最初に到達すべきマイルストーンが"シード"のつく順位だ。シードがつくのは、グランドスラムなら上位32名。そこに入っていれば、初戦からトッププレーヤーと当たることは避けられる。

 現在の大坂のランキングは38位。その地位をまずは30位以内に上げることが、当面の目標になるだろう。そのために必要なポイント数は160ほどが目安。グランドスラムなら、4回戦進出でクリアできる数字だ。

 今年1月の全豪オープンで敗れた時、大坂はランキングが80位台まで落ちることを知ったうえで、「ランキングは気にしていない。気にするのはむしろ、私と大会の早い段階で対戦することになる、ほかの選手たち」だと言った。

 その彼女が、今大会が始まる数日前には「初戦でイガと対戦することになる夢を見た」と苦笑いする。「イガ」とは現世界ランキング1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)。大坂本人も「シードがないと最悪の初戦もあり得る。シードがいかに重要か実感した」と認めるように、ノーシードとして4大会戦うなかでランキングへの考え方も変わってきたようだ。

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