錦織圭「目標が立てづらい大会」。全英では「モダンテニスの体現者」たちが立ちはだかる (2ページ目)
一方で不安材料は、「唯一よくなかった」と振り返るボレー。そして、全仏オープン前から痛みを感じていたという右手首だ。
手首は4年前、腱の脱臼という大けがを負った古傷。本人も「スポット的には(脱臼と)同じ。しっかり治さないといけない場所ではあるので、気をつけないと」と、言葉を選びつつ口にした。
その後、ウインブルドンの会場を訪れた時点で「だいぶよくなりました。3日間くらいテニス休んで、痛みはほぼなくなっています」と表情は明るい。とはいえ、やはりウインブルドンは本人曰く「一番目標が立てづらい大会」だ。
その、最も先行きの見通しが立たないウインブルドンのドローが、開幕を3日後に控えた6月25日に確定した。
初戦の相手は、67位のアレクセイ・ポピリン(オーストラリア)。前述したように、いきなりトップシードと当たる可能性もあることを思えば、ドロー運には恵まれたほうと言えるかもしれない。
ただ、196cmの長身を誇る21歳は、芝で番狂わせを起こす条件を満たした要注意人物だ。ジュニア時代に多くの戦果をあげ、先の全仏オープン準優勝者のステファノス・チチパス(ギリシャ)らとともに、敏腕コーチのパトリック・ムラトグルーに見出されたポテンシャルの持ち主でもある。
長身ながらフットワークがよく、パワーとセンスを兼備するポピリン。ウインブルドンの初戦の相手としては難敵だ。
番狂わせが多い芝の大会において、勝ち進んだ先で誰と対戦するかを予想するのは、矛盾した行為ではある。ただ、その愚をあえておかしドローの先を見ていくと、ランキング通りなら次が12シードのキャスパー・ルード(ノルウェー)、3回戦が20シードのアスラン・カラツェフ(ロシア)、そして4回戦では7シードのマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)が待ち構える。
父親が元ツアー選手のルードは、早くから将来を期待されてきた22歳。カラツェフは年齢こそ27歳だが、昨年8月のツアー再開後にランキング200位台から脅威の躍進を見せた遅咲きの成長株だ。25歳のビッグサーバーのベレッティーニは、前哨戦を制して心身ともに充実の時を迎えている。
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