大坂なおみが手にした「もうひとつの武器」。データが示す明らかな向上

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by AAP/AFLO

 大坂なおみがオーストラリアンオープン(全豪オープン)準々決勝で見せた66分間のプレーは、彼女の成長を世界中に伝えるには十分すぎるほど圧巻だった――。

 無観客の中で、第3シードの大坂なおみ(WTAランキング3位、2月8日づけ/以下同)は、シェイ・スーウェイ(71位、台湾)を6-2、6-2で破って2年ぶり2度目のベスト4進出を決めた。グランドスラムでは4回目のベスト4となり、日本人選手では1968年のオープン化(プロ解禁)以降、伊達公子と錦織圭の3回を抜いて最多となった。

作り上げてきた自分のテニスで順調に勝ち進んでいる大坂なおみ作り上げてきた自分のテニスで順調に勝ち進んでいる大坂なおみ 大坂とシェイの対戦成績は大坂の4勝1敗だが、フルセットになるタフな試合が多い。例えば、2019年の全豪オープン3回戦で戦った時は、第1セットを5-7で落とした大坂がラケットを投げて警告を受け、第2セットも1−4と追い詰められた。だが、そこから持ち直した大坂は5ゲームを連取すると一気に逆転勝ちを収めた。

 当時、大坂のツアーコーチだったアレクサンダー・バインコーチは、「大坂の精神的な成長が見られた」と誇らしげに語っていた。

 また、同年3月のマイアミオープン3回戦で対戦した時は、バインコーチと離れて1カ月半ほど経ったころで、大坂のメンタルが不安定な時期だった。第1セットを6-4で先取した大坂だったが、その後はミスを多発。半ば自滅のような負けを喫した。

 2019年は、シェイが大坂を大いに苦しめたが、今回はランキングどおりの実力差を大坂が見せつける形になり、サービスエース7本を含む24本のウィナーを打ち込んだ。

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