サッカー日本代表、森保一監督100試合達成の祝福ムードに違和感 長期政権の弊害にも目を
連載第67回
杉山茂樹の「看過できない」
日本が3-0で勝利したボリビア戦は、森保一監督の就任100試合目にあたる試合だった。ボリビア戦の原稿でも触れたように、その試合前、試合後の会見では、それに関するポジティブな質問が相次ぎ、ちょっとした祝福ムードに包まれた。就任は2018年7月なので、日本代表は7年4カ月間、同じ監督のもとで活動してきたことになる。
ボリビア戦後、日本代表指揮官として100試合目を迎えた森保一監督を囲む選手たち photo by JFA その間、解任が叫ばれたことはそれほどなかった。カタールワールドカップ後の続投に際しても、異を唱える声は少数派だった。そこに日本サッカー界の特殊性を見る気がする。
サッカーはデータの類が比較的少ない競技として知られる。最近は時勢に従って増えてきているとはいえ、優劣を決定的に示す客観データは限られる。選手の個人成績でいえば、得点ランキングぐらいだろう。アシストランキングでさえ、話半分に留めておかれるデータに見える。
見解は分かれて当然。それがサッカーの本質だ。
にもかかわらず、波風がほとんど立たない。監督批判を繰り広げるメディアはわずかしかない。日本は、世界でも珍しい国である。
「国境なき記者団」が発表している日本の報道の自由度は現在、世界66位。G7のなかでは最下位にあたる。サッカー界もそれを象徴しているかもしれない。緩くて甘いメディア環境のなかで、森保監督は7年4カ月にわたり代表監督を務め、100試合を戦ってきた。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

