錦織圭「今年の目標はない」。復帰戦後に語った課題と試合への飢餓感 (4ページ目)

  • 神 仁司●文 text by Ko Hitoshi
  • photo by AFLO

「この試合を踏まえて、もうちょっと直すべきところを、来週の試合でまた調整できたらと思います。今年の目標はないですね。今日みたいに1試合ずつ。もちろん勝てればよかったですけど。勝って何試合も重ねることが、一番の経験値になるので。なるべく試合は勝って、試合数はこなしたいです」

「まだまだショットの感覚が100%ではない」という錦織は、今、試合に飢えているように見える。ピリピリするような試合独特の緊張感の中で自分本来のテニスの感覚を少しでも早く取り戻したいと願っているようだ。

 かつて2009年に右ひじの手術をした錦織は、2010年2月のATPデルレイビーチ大会で20歳のリスタートを切った。その後、日本男子選手初のトップ10入り、USオープン準優勝、日本男子初のATPファイナルズ出場など、日本男子前人未到の数々の活躍を見せた。

 2回目の右ひじの手術を乗り越え、30歳からのリスタートをきった錦織は、果たしてどんな活躍を見せてくれるのだろうか。もちろん10年前と比べればプロテニスプレーヤーとして残された時間が多くないのは事実だ。だが、そんな限られた時間の中でも、錦織が心踊るようなプレーを見せてくれるに違いないという期待感は、昔も今も変わらない。

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