2020.06.30

伊達公子「私に何ができる?」。
日本女子テニス界の危機に新たな試み

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by YONEX

「私は、テニス界のために何がしたい? 私には何ができる……?」

 それは、彼女が3年前にセカンドキャリアを終えた時から幾度も、幾度も、自身に質し続けた問いだという。

熱のこもった指導を行なう伊達公子 26歳のキャリア全盛期で現役を退いた時には、当分はテニスから離れたいと願った。

 だが、ケガや常識にも抗い、体力の限界まで戦いに戦い抜いた47歳での引退後は、「テニスから離れるつもりは、まったくなかった」と言う。

「選手を終えて次のキャリアに進むうえで、何かしら引きだしを増やそう」

 その思いから、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科へと入学する。

 多くの刺激的な出会いもあったその学び舎では、国内のテニスコートと育成・強化の関連性について研究した。そこで、適切な環境整備と正しい指導が今、灯るテニスの火を絶やさぬためにも急務だとの思いを強くした。

 伊達が世界4位まで上り詰めた1990年代には、グランドスラム本戦に日本女子選手が10人前後出場していた。それが、現在は2、3名にまで減っている。