2020.05.16

大坂なおみ、恥じらいを感じた初クレー。
苦手だからこそ見える成長の証

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「オーマイゴッド! 私ったら何を考えていたのかな? ハードコートに戻してー!……っていう感じ」

 恥じらいの笑みをこぼしつつ、彼女がそう言ったのは、4年前の2016年。欧州のレッドクレーコート(赤土)で、初めてプレーした時のことだった。

初めて全仏のクレーコートを経験した当時18歳の大坂なおみ テニスのコートには複数の種類があり、最も普及しているのはハードコート。ただ、4大大会のひとつである全仏オープンは、砕いたレンガを表面に敷きつめた赤土のそれで行なわれ、全仏前の約1カ月間は、欧州の複数都市でレッドクレーの大会が開催される。

 クレーコートの特性は、バウンド後にボールが上方に弾み、球速も削がれるため、ラリーが長く続きやすい。また、表面は均一ではなく、ボールのイレギュラーが多いので、忍耐力と適応力が求められるコートだと言える。

 足もとが不安定で滑るため、クレーコートに適したフットワークや、走りながらもバランスを崩さぬフィジカルの強さも不可欠だ。それら、ユニークで時に残酷な顔を持つ赤土のコートは、主にハードコートで育ってきた北米やアジアの選手たちの前に「鬼門」として立ちはだかることも珍しくない。