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大坂なおみが語ったSNSに長文を
投稿したきっかけ。「衝撃的だった」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 今から18年前――。決勝戦で、観客から不条理なブーイングを浴びながらも勝利を掴んだセリーナの姿が、テニスを始めたばかりのシャイな少女の胸を激しく打った。その日から、セリーナの試合をテレビやネットで追っていた大坂は、やがて、セリーナのライバルと呼ばれる長身選手にも敬意の目を向けるようになる。

 金髪のポニーテールがトレードマークのその選手は、いかなる状況下でも自分を律し、毅然と前を向き戦い続けた。セリーナと並び、大坂が「将来、戦いたい」と渇望した選手の名は、マリア・シャラポワ(ロシア)。1年前、そのシャラポワをBNPパリバ・オープンの初戦で破った大坂は、ひとつの夢の成就を推進力とし、一気に頂点まで駆け上がった。

 憧れの人々を追い抜く疾走は、翌週のマイアミへと続いていく。マイアミ・オープンの初戦でセリーナと対戦した大坂は、完勝と言える白星を掴み取ったのだ。

 15年近く抱き続けた夢を、次々と現実に変えた1年前の出来事を、大坂は「まるで10年前のよう」と、懐かしそうに振り返った。

 10年にも感じる濃密な時の流れは、彼女を取り巻くさまざまな要素を、衣替えのように変えもした。

 世界1位の一挙手一投足を追うテレビカメラ。注がれる数多の視線。サインや写真を求め、幾重にも折り重なる人垣――。

 2週間前からコーチに就任したジャーメイン・ジェンキンスも、それら変わった要素のひとつだ。USTA(全米テニス協会)にも手腕を買われたその新コーチを、大坂は「厳格な兄のよう」と評し、同時に「コーチが変わっても、私がやることに劇的な変化があるわけではない」と静かに述べた。

 周囲は彼女を「ディフェンディング・チャンピオン」と見なし、優勝へのプロセスを「ディフェンド」の言葉で形容したがる。だが、「チーム・ナオミ」にとってここはあくまで新たな大会であり、挑むのは新たな戦いだ。

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