錦織圭がグランドスラムを制覇するためにあと何が足りない? (2ページ目)

  • 神 仁司●文・撮影 text&photo by Ko Hitoshi

 こう振り返った錦織は、準々決勝までに5セットマッチを3回も消化し、4回戦では、5時間5分におよぶ2セットダウンからの逆転劇を演じた。5時間以上の試合をして回復しきれなかった錦織をジョコビッチは気遣った。

「痛みを伴った彼を見るのはしのびない。彼がこんな形でグランドスラムを終えるのは本意ではないことはわかっています。彼は、この大会でいくつかマラソンマッチを戦ったから、彼の体はその代価を支払わざるを得なかったんじゃないかな」

 これでジョコビッチとの対戦成績は錦織の2勝16敗となり、連敗も15となった。

 錦織は、昨年日本でのオフを終えて、2019年シーズンに向けたトレーニングを再開させる前に、こんなことを語っていた。

「攻撃的なテニスに加えて、何かさらにタフさや力強さが、ストロークの面でも出てくれば、相手にとってもやりにくくなるのかなと思う。自分が苦手にしているジョコビッチみたいな、ああいうテニスも必要かなと思う。自分の攻めるスタイルにプラスできるものを、さらにつけていきたいと思います。攻めるだけでは勝てないので、もっと強化して、弱点をなくしていきたいですね」

 だが、31歳で世界王者に返り咲いたジョコビッチと、29歳の錦織との差は縮まるどころか、広がったようにも見える。今回のメルボルンを含めて、これまでもジョコビッチへの挑戦権を得るまでの過程で、錦織がエネルギーをほぼ使ってしまっていることは多かった。

 たとえば、2014年マスターズ1000・マイアミ大会では、準々決勝でロジャー・フェデラーを2時間8分におよんだ3セットで倒した後、続くジョコビッチとの準決勝を左股関節の炎症で棄権した。

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