ツアー初優勝で、ダニエル太郎の「人生哲学」に変化はあったのか? (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 どのレベルにいても、そういう不安は絶対についてくる。それは仕方ない。それはアクセプト(受け容れ)しなくてはいけない。そういうときは絶対にくるって。だって(ノバク・)ジョコビッチがケガから戻ってきて、僕に負けるんだから!(笑)。だから、僕が300位や400位の選手に負けることもあるので、それはアクセプトしなくてはいけないです。

―― では、優勝した後にチャレンジャーやグランドスラムの予選を戦わなくてはいけないことも、テニス選手の人生としてアクセプトしていることのひとつ?

ダニエル そうそう。だって優勝した後に出たチャレンジャーも、1回戦からつらい思いをしましたし。今日もつらい試合があり、明日も明後日もつらい試合は続くだろうから。テニスって、そんな世界です(笑)。

     ◆     ◆     ◆

 優勝しても人生が変わるわけではないというダニエルは、テニスを「人生を豊かにしてくれる手段のひとつ」と捉えている。プレッシャーやモチベーションの低下すらも、成長の「プロセス」であり「パッケージのひとつ」として受け入れながら、優勝後も以前と変わらぬ姿勢で、厳しくも、時に楽しみと喜びに彩られるテニスの世界を、彼は独自のバランス感覚で泳いでいく。

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