ツアー初優勝で、ダニエル太郎の「人生哲学」に変化はあったのか? (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

―― 優勝したイスタンブールオープンには、大会開幕直前で本戦に出られることになったと聞きました。そのようなノンプレッシャーな状況が助けになった側面もありますか?

ダニエル ありました、ありました。本戦に入れただけでもうれしかったから。結果を出さなくてはという気負いもなくて、1試合1試合という感じで臨めていて。準決勝くらいからは優勝も見えてきたけれど、それでも自分にそんなに期待はしていなかったのがよかったと思います。

―― 昨年末から、フォアやサーブの改善に取り組んでいると言っていました。優勝した大会では、プレー面ではどの点がよかったのでしょう?

ダニエル ベースラインの後ろからも冷静にラリーできていたし、アタックできるときはアタックできました。コートが遅かったので、考える時間があったのもよかったのかもしれません。

 フォアは、ショットのバリエーションが増えた感じですね。以前は高い(軌道の)ボールだけがよかったけれど、サーブの後にリターンされたボールのディレクション(方向)を変えたりするのはできなかったんです。展開を早くすることはバックではできていたんですが、それをフォアでもできるようになった感じです。

―― それができるようになったのは、練習の成果ですか?

ダニエル 練習ですね。練習ですが、今はいろんなことを......ボレーもドロップショットもサーブもと、いろんなことに取り組んでいます。なので、タフな練習だけれど、精神的にはそこまでタフじゃないです。

―― ダニエルさんは以前から、「優勝やグランドスラムだけを目的にしたらつらくなる。毎日の練習から楽しまないと」と言っていました。でも、毎日コツコツやっていくことにモチベーションを見つけるのは、難しくないですか?

ダニエル いや、そのモチベーションのないことも、成長のプロセスのひとつなので。毎日『がんばれるぞ!』という気持ちのある人なんて、誰もいないですよ。そういうふうに見せている人は嘘だから。ぜーったいに、嘘だから(笑)。練習が嫌だという気持ちも大切にしていかなくてはいけないし、勝利や結果によって、自分の価値が上がったり下がったりするわけではないと考えています。

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