なんと11年ぶり。杉田祐一が5セットを戦い抜いて勝ったことの意味 (2ページ目)
とはいえ、杉田がダブルスに出ることは、日ごろのツアーではほとんどない。2013年デビスカップのダブルスでコロンビアに完敗したときは、こみ上げる悔しさを必死に抑えつつ「僕はシングルス選手なので......」とかろうじて言葉を絞り出す。そしてそのとき以来、2016年9月の対ウクライナ戦まで、杉田はデビスカップチームからも離れていた。
ツアーにおいても、大躍進を果たした2017年以前で杉田がグランドスラム本戦――すなわち5セットマッチのフォーマットで戦ったのは、わずかに3大会を数えるのみ。それらの3大会ではいずれも、初戦でトップ選手に当たったこともあり3セット(ストレート)で敗退した。
また、2007年から2016年の間で杉田が5セットのフルセットを戦ったのは、例外的に5セットマッチが採用されているウインブルドン予選決勝の1試合だけである。
その彼が、2017年の全仏オープン以降はグランドスラムに4大会連続出場し、うち3大会で5セットを戦うも、いずれも僅差で涙を飲んだ。
全仏では追い上げる展開のなか、日没順延に水を注されて、最後は26位のスティーブ・ジョンソン(アメリカ)に逃げ切られた。
連戦のなか迎えたウインブルドンの2回戦では、追いつきフルセットに持ち込むも、それまでにエネルギーを使い果たし、最終セットで力尽きた。
そして先の全豪オープンでは、身長211cmの「ビッグサーバー」イボ・カルロビッチ(クロアチア)と行き詰まるサービスキープ合戦を演じた末に、第5セットを10−12で失う。長い試合になれば、サーブに勝(まさ)る相手に分があったことを認めたうえで、早い段階でブレークできずに相手の土俵に乗ってしまったことを彼は悔いた。
それら重ねてきた経験と、コートから持ち帰った課題が結んだ果実こそが、今回のデビスカップでの11年ぶりの勝利である。
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