もう苦しい涙はない。伊達公子が戦いを求め続けた2年半の月日 (5ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 伊達さんの練習は本当に激しくて、一緒にやったら過呼吸になっちゃったんですよ――奈良もそんなエピソードを、懐かしそうに振り返った。
 
 引退を表明した伊達公子だが、まだ最後の戦いは終わっていない。9月11日から東京で開催される「ジャパンウィメンズオープン」が幕引きの舞台に用意されている。

 そこで彼女が見せるのは、どのようなプレーだろうか? メスを入れたひざは......最後まで彼女を悩まし続けた古傷の肩は、果たしてどこまで持つのだろうか?

「どんなプレーがどこまでできるか未知数」だと、伊達本人も告白する。それでもひとつ、きっと確かなことがある。

 メルボルンで涙を流し、確実に近づいていると覚悟した「その日」から、彼女は約2年半、顔を上げて歩みを進めてきた。限界をささやく周囲の声にも惑わされず、自分だけを信じ続けた。

 だから最後に有明のコートに立つ彼女に、苦しい涙は、ないはずだ。

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