バルセロナOPで快進撃。
杉田祐一は錦織圭も認める「スキのない男」 (3ページ目)
高校3年生時、世界最高レベルのジュニア大会である「大阪スーパージュニア選手権」で優勝。彼の眼前には、三菱電機との契約や早稲田大学進学など、次々と光の当たる道が開かれていった。
しかしそれから程なくして、深い迷いの森に、彼は足を踏み入れる。
「17~18歳のころはいろんな物が自然とついてきたから、考える必要もなかった。すると20歳のころにランキングが落ちたとき、ランキングを戻すことしか考えられなかった。自分が何で勝負すべきかが見えていなかった」
悩み、もがき、ときにはあまりに多くの情報と助言に触れ、「考えがグチャグチャになった」とまで彼は言った。
そんな杉田にひとつの転機を与えたのは、やや意外な人物である。
それは、杉田よりも7歳年少の西岡良仁。2014年に18歳でアジア大会・金メダルを獲得するなど若くして躍進する西岡の姿に、杉田は過去の自分を重ねていた。やがてその西岡とは、同じフィジカルトレーナーに師事したこともあり、身近で見たり話をする機会も増える。
「若いのに、すごくいろいろと考えているな......」
短期的な目標に向かって無心に邁進し、同時に長期的視野に立った計画的なトレーニングや転戦スケジュールを組む西岡の姿勢は、杉田にも進むべき道を示した。
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