フェデラーvsナダルの全豪決勝は「テニス史に残る名勝負」の予感

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 35歳のロジャー・フェデラーと30歳のラファエル・ナダルが、オーストラリアン(全豪)オープンの決勝で再び対決することになると予想した人は、おそらく誰もいなかったのではないだろうか。

 もちろん、2人とも2017年シーズンの復活を期していたはずだが、これほど早く結果が出るとは誰もが驚きを隠せない。

決勝への意気込みを語ったロジャー・フェデラー決勝への意気込みを語ったロジャー・フェデラー もともとフェデラーは、ケガの少ない選手として知られていたが、約1年前、オーストラリアンオープンの準決勝で敗れた次の日に、思いもかけないトラブルに見舞われた。娘たちをお風呂にいれようと、右を向いて振り返った時に左ひざで音がした。シンプルで小さな動きだったという。違和感を覚えたフェデラーだったが、すぐに何が起こったかはわからなかった。しかし、その後動物園へ行った時には、ひざは腫れあがっていた。

「自分の人生で、100万回はしたようなシンプルな動きだった。テニスコートで起こらなくてよかった」

 フェデラーは、スイスに戻ってからMRI 検査をして医者から手術が必要だと言われ、2月3日に、損傷した半月板を修復するために、内視鏡によるひざの手術を実施した。

 1998年にプロへ転向してから34歳になるまでフェデラーは、手術を一度もしたことがなかった。それだけにショックも当然大きかった。

「それまで、自分のキャリアは手術をしないで切り抜けてこられたので、手術をしなければならないと聞いた時は、とても悲しかったし、医者を信じるしかなかった。手術室に入った時には、とてもナーバスになったし、悲しかった。麻酔から覚めて、自分のひざを見た時、自分の足ではないように感じた。手術をしたのが信じられなかった。カムバックできることを望んだが、恐ろしかった」

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