2016.11.20

2夜連続の失速。なぜ錦織圭は
後味の悪いシーズン終幕となったか

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「今大会最高のパフォーマンスが、一番欲しいタイミングで訪れた。今日の試合では、あらゆることが噛み合った」

 スコアは6−1、6−1。試合時間わずか1時間6分で錦織圭から勝利を手にしたノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、満足そうな笑みを浮かべ自画自賛の言葉を並べると、対戦相手をいたわるかのように、こう続けた。

「対して圭は、明らかにベストのプレーにはほど遠かった。圭は昨晩の遅くまで試合をしていたし、今季は彼にとって非常に長いシーズンであり、長い今大会であった。だからおそらく、疲れていたのだと思う」

主導権を握ったジョコビッチの前に錦織圭は攻め手を失い完敗 だが当の錦織は、ジョコビッチの言う「疲れ」を認めつつも、そこに敗戦の理由を求めはしなかった。

「今日は、身体の反応が今ひとつよくなかったのもあり……そんなに疲れは残っていないと思っていたけれど、多少なりとは作用したかなとは思いますが。でも、今日は彼が強すぎました」

 試合終了から、約1時間――。表情と声色に落胆の色を濃く落としながらも、錦織は頭と胸のうちを整理し、思考を組み立てるようにしながら、聞かれる問いに答えていった。

 錦織が言うように、アンディ・マリー(イギリス)に奪われた1位奪還に燃えるジョコビッチが、「強すぎた」のは間違いない。だが同時にジョコビッチの言うとおり、錦織のパフォーマンスが「ベストにほど遠かった」のも、また事実だ。