わき腹痛、過密日程......ギリギリの錦織圭が宿敵ジョコビッチに挑む (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


 実は2008年のマスターズカップ(以前のツアー最終戦の呼称)で、当時21歳のマリーも似たような状況に置かれていたことがあった。

 RR2連勝ですでに準決勝進出を決めていたマリーは、RR3試合目をロジャー・フェデラー(当時2位)と戦った。この時マリーは無理をする必要はなかったが、フェデラーを倒すことに全精力をかけ、4-6、7-6(3)、7-5で勝った。だが、さすがに回復しきれず、準決勝ではいいところなくストレートで敗れたのだった。それでもマリーはただひたすらフェデラーを倒すことだけに集中し、何も後悔はないと振り返った。

 かつてのマリーがそうであったように、そして、今回の錦織がそうであるように、選手は、目の前の試合と向かい合い、ネットの反対側にいる相手と対峙して、ただただ勝利を目指す。選手はそれでいいのだと思う。だが「チーム錦織」の中で、ランキングや準決勝を考慮した意見交換があってもよかったのではないだろうか。

 来季以降、錦織がラウンドロビンを勝ち抜き、さらに準決勝から2試合を勝ち抜くためには、ツアーファイナルズならではの特殊な状況下での経験値を上げていかなければならない。

 ジョコビッチとの準決勝で、錦織はおそらく体力的にギリギリの戦いを強いられるだろう。だが、今季最後の大会で力を振り絞り、プライドをかけたテニスを今一度見せてもらいたい。

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