かつての自分のような若手を叩く。錦織圭「トップ10」の流儀 (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


 第3セットを取った錦織は第4セット第3ゲームで先にブレークを許すものの、結局第5ゲームから5ゲームを連取して一気に勝負を決めた。

「彼はでかいので、あまり年齢差は感じなかったですけど」と錦織が冗談交じりに評したハチャノフは、20歳3ヵ月で、現在トップ100の中で4番目に若い選手。ATPワールドテニスツアーの"ネクスト・ジェネレーション"として注目されているひとりである。ちなみに、20歳11ヵ月の西岡良仁(85位)もこのグループに入っている。

「若い選手が上がってくるのは、テニス界にとっていいことだと思いますし、学ぶこともある。これからもっともっと、こういう場面は増えてくるでしょうね」(錦織)

 ハチャノフにとって、錦織戦が初めてのトップ10プレーヤーとの対戦であった。振り返れば、錦織が初めてトップ10プレーヤーと対戦したのは2008年ATPサンノゼ大会2回戦で、アンディ・ロディック(当時6位)とプレーした時だった。「ロディック(との試合)はもう忘れました」と、ちょっと構えてしまうところがあった当時18歳の錦織はジャッジに対しふてくされた態度をとり、それをロディックにあげつらわれて、トッププレーヤーからの洗礼を浴びたのだった。

 さらに、2008年USオープン3回戦で、錦織が当時4位のダビド・フェレールを破って初のベスト16に進出した時をこう振り返る。

「プレッシャーがなかったわけではないけど、それを楽しんで、思い切りテニスをした。以前、その映像を見た時、よくこんなプレーできるなという思い切ったプレーが当時はあった」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る