泣かなくなった土居美咲。初のベスト8をかけて因縁のケルバー戦へ (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

「スイッチになる行動は、なんでもいいんですよ、自分にあっていれば」

 土居が説明する。

「たとえば、ガッツポーズをスイッチにすると決めたら、拳をグッと握ると集中力が上がるような状況を、トレーニングで作り上げるんです。アクションと精神状態が連動するようにする。動作をやって集中力を上げ、そしてまた集中力を落として......という練習を繰り返して、動きがスイッチになるように取り組んできました」

 今回のウインブルドンでも、土居の"スイッチ"は幾度も発動されていた。

 何かを変えたいと望み、メンタルコーチに師事するようになってから、2年――。ウインブルドンで初のグランドスラム・ベスト16に勝ち進んだ土居は、すべての試合で、心の成長を示してきた。

 初戦は、20歳の対戦相手のこわばる心の内を見透かして、立ち上がりから集中力を上げて引き離した。

 2回戦では、サーブと強打自慢の第15シード相手に、タイブレークの末に第1セットを奪取。「どちらに転ぶかわからないタイブレークを取ったことで、相手の動揺も感じた」という土居は、第2セット最初のゲームをいきなりブレークし、試合の主導権を手元に収めた。

 3回戦も、2回戦のVTRを見るかのような展開。やはり強打と高速サーブを武器とする相手に、第1セットをタイブレークの末に取り切り、第2セットで突き放す。特に第1セットでは、6本のセットポイントをしのぐ勝負強さを発揮した。

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