杉山愛以来のクレーでの快挙。土居美咲の全仏オープンは期待大! (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 土居は、身長こそ159cmと日本人としても標準かむしろ小柄だが、彼女のプレースタイルは他の多くの選手と一線を画す。鋭く振り抜く左腕から放つ切れ味抜群のフォアを武器に、自ら攻めてラリーを支配し、ウイナーを奪う攻撃テニスが土居の身上。クリクリとした瞳の愛らしい外見とは裏腹に、「しっかりスピンをかけ、重いボールで攻める男子のようなプレー」こそが、彼女がかねてより標榜してきたテニスだ。

 土居が幼少期からそのようなプレーを目指し、そして今も継続できているわけは、彼女の生来の性格や、決してフロントランナーだったとは言いがたい足跡にもあるかもしれない。

 人口5万人前後の、千葉県の小さな町に生まれ育った「田舎の子」は、日本のトップ選手の多くがカウンターテニスであることに気づくと、「だったら、私は他の人とは違う攻撃的なテニスがしたい」と、漠然と思っていたという。その後はテニスで強くなるに従い、国内のいろんな町に行き、中学生になったころからは海外にまで行けるようになった。左腕1本で道を切り開くかのように、「自分の世界が広がっていくこと」が、彼女の純粋なモチベーションになっていく。

 それでも当時の土居は、幸か不幸か、同世代のなかでは常に4~5番手であった。

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