マスターズ準決勝。錦織圭は「2年前の忘れ物」を取りに戻る (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by Getty Images

 来る錦織戦に向けて"悪童"キリオスは、「圭は世界最高の選手のひとり。信じがたいリターンを打つし、ありえないほど速く動いてベースラインから強烈なショットを打つ。彼には弱点らしい弱点がない」と、殊勝なまでに最大級の敬意を払った。ただし、試合の策については、「自分がどうプレーすべきかはわかっている」と語るにとどめ、具体的な言及はなし。

 対する錦織は、「ビッグサーバーなので、なるべくリターンを返せるようにしたい。ディフェンスをしっかりするのと同時に、守りだけにならないようにしたいと思います」と、「リターン」と「攻守のバランス」を勝利へのカギに挙げた。

 両者が「楽しみ」だと口を揃える準決勝は、現地時間4月1日の夜7時、センターコートに組まれている。

 錦織にとってはモンフィス戦の激闘から、わずか24時間後の試合。それでも、体力面を気遣う記者からの問いに対し、「そこまで悪い状態ではない。暑くて長い試合だったので今は少し疲れているけれど、回復に専念して明日の試合に備えたい」と、涼しい顔で断言した。

 2年前――。準決勝を控え、「棄権」という苦渋の決断を下したとき、彼は悄然(しょうぜん)としながらも言った。

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