負けても「楽しかった」錦織圭。フェデラー戦で得た「最高のご褒美」 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by Getty Images

 濃密でエンターテインメント性に満ちた、2時間10分……。その激闘のなかで、両者が獲得した総ポイント数はフェデラー「96」、錦織「93」。勝者と敗者を分けたわずか3ポイントは、ファイナルセットの最後のゲーム――総ポイント数「93対93」で並んだ状態から、フェデラーが立て続けにさらっていった。最終スコアは、5-7、6-4、4-6。

「数ポイントの差といえど、そこは大きい。少しの余裕がまだ彼(フェデラー)にはあったと思うので、そこの違いは、小さいようで大きい」

 彼我の戦力差を冷静に受け止めながら、錦織はこうも続けた。

「でも、これだけフェデラーを追い詰められたのは来年につながります。シーズンの終わり方としては良いわけではないですが、この2試合、かなり自分らしいプレーが戻ってきて良いテニスができているので、この自信を来年に持ち込めるかと思います」

 全米オープン初戦で敗れてからのこの数ヶ月、「モヤモヤ」していたその迷いをついに振り切り、今日の試合で「自分らしい」プレーを取り戻せたのは、やはりフェデラーという圧倒的な存在があってこそだろう。試合後の英語の会見では、こんなやりとりがあった。

「コーチのマイケル・チャンは、フェデラーを尊敬しすぎるとベストのプレーができないと言っていた。どのようにして、フェデラーへの敬意を振り払ったのか?」

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る