2015.10.29

【テニス】苦しんだ7年間。土居美咲がツアー初優勝を掴むまで

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 永遠の課題――。

 土居美咲がその言葉を口にしたのは、もう2年前になるだろうか? 敗戦後に、自ら原因を分析したときのこと。「あと一歩の差を詰め切ること……」。それが、”永遠の課題”の正体だ。

日本人女子史上10人目のツアー優勝を果たした土居美咲「目標はツアー優勝」だと宣言したのも、2年前だったと記憶している。彼女にとって「永遠の課題克服」と「ツアー優勝」は、恐らくは”鶏と卵”のように、相互に連鎖し生みあう関係性だったのだろう。

 2015年10月。土居はBGL・BNPパリバ・ルクセンブルク・オープンにて、求め続けたふたつの果実を、同時にその手に掴み取る。「とうとう」「やっと!」……悲願の初優勝の歓喜を語るには、そんな言葉が並んだ。

 身長159センチの土居は、日本選手としても小柄だが、そのプレーは躍動感と破壊力に満ちている。最大の武器は、鋭く振り抜く左腕から繰り出される、切れ味に満ちたフォアハンドのショット。ウイナー(相手のラケットに触れることなく決まるポイント)を奪うことにかけてはツアーでもトップレベルで、今年5月の全仏オープンでは、世界7位のアナ・イバノビッチ(セルビア)相手にウイナーを連発し、スタジアムを沸かせた。弾けるようにコートを飛び跳ね、ストロークで鋭い弧を描く小柄なアジア人は、観客やメディアにも多大なインパクトを残す。