コーチが分析。「錦織圭の好調を支える3つの要素」 (3ページ目)

  • 神仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 出場する全大会に帯同しているダンテ・ボッティーニコーチも、錦織のフィジカルが強くなり、充実していることに目を見張る。今年も体のどこかにケガはあるものの、そのマネジメントがしっかりできているという。

「圭は、より強いフィジカルを得るために、とてもハードなトレーニングにも耐えている。そして、経験を積んで成熟してきていると思う。コンディションにもよるけど、圭は自分の痛みによりうまく対応できるようになった。以前、同じような箇所に痛みを抱えていたことがあったけど、今の圭は、自分の体をより理解し、より良い対処ができるようになった」

 チャンコーチも、フィジカルの充実が今シーズンのクレーでの好成績の要因と見ている。

「圭は、フィジカルコンディション向上のためにハードに取り組んでいます。特別な秘密があるわけではありません。オフシーズンでのトレーニング期間に追い込んでやりました。すでに昨年から始めて、短期間でかつてないほど強くなりました。ハードワークが、いい形になって表れている」

 さらに、ボッティーニコーチは、錦織のある変化に気づいたという。そしてその変化が、フィジカル向上の要因と考えている。

「圭のマインドに少し変化が生じていると思う。以前の圭は、大きなケガになることを恐れ過ぎて、プレーをやめてしまうことがあった。でも、より良い対処ができるようになって、プレーを続けても問題が発生しないようになった。すべてがミックスされて、いい方向へ働いている」

 昨シーズン後半から、錦織は「ケガを恐れずにやっていきたい」とよく口にするようになり、厳しいトレーニングや過酷な連戦の中「痛いところが数カ所出てきますけど、しっかり治してやれば大丈夫です」と前向きな発言が増えた。

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