2015.01.26

クルム伊達公子の動揺。「その日が確実に近づいている」

  • 神仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

「1カ月半ぐらいですかね、テニスもできない、トレーニングもできない、歩くこともできないという日があって……」

 2015年オーストラリアンオープン(全豪)の女子シングルス1回戦の試合後。会見でこう語り、みるみるうちに目が真っ赤になったクルム伊達公子は、言葉を詰まらせ、両手を合わせて目頭を押さえながら静かに泣いた――。

試合後の会見で涙を見せたクルム伊達公子 クルム伊達(WTAランキング101位、大会時)は、44歳114日の大会最年長選手として、2015年全豪の本戦入りを果たした。1回戦でのクルム伊達は、持ち味であるカウンターショットにキレがなく、終始厳しい表情のままプレー。予選勝ち上がりのアンナ・タチシビリ(141位・アメリカ)に、5-7、4-6で敗れ、昨年同様、初戦突破はならなかった。

「ケガが関係しているかどうかという判断は、自分の中でも難しい。完治しているわけではないので、もしかしたらずっとこのままの状態かもしれないし、治るのかもしれないし、わからない」

 クルム伊達は、14年9月、東レパン・パシフィックテニス1回戦でビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)との試合中に、左足の付け根を負傷。痛みはすぐにひいたが、試合後のMRI検査で、右側大転子の滑液包炎と診断された。9月末には、左尻と右側の大転子にステロイド注射をして治療。予定していた北京と大阪の大会を欠場し、回復に努めた。だが、炎症は思うように治まらなかった。

「もうコートに戻ることは無理かなと思っていた時期もあった」

 こう振り返ったクルム伊達のランキングは、一時116位まで落ちた。その後、完治はしていなかったが、11月のWTAチャレンジャー台北大会で復帰(1回戦負け)。続くITFドバイ大会では準優勝、ITF豊田大会ではベスト4に入ってランキングを89位まで戻し、期限ギリギリで全豪の本戦にすべり込んだ。

「私の中では、とくに全豪の本戦を目的にした試合ではなかった。ただ、自分の中で、その場にある状況と、ただ向き合って、勝負をしていただけ」