過去7戦全敗。錦織圭がナダルに勝つための条件

  • 山口奈緒美●文 text by Yamaguchi Naomi
  • photo by Getty Images

1月特集 2015年錦織圭の挑戦!(8)

錦織圭vs「BIG3」
第3回:ラファエル・ナダル編

「BIG3」と言われる、世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ、2位のロジャー・フェデラー、3位のラファエル・ナダル。錦織圭が世界の頂点に立つためには、打ち破らなければいけない壁である。なかでも、これまで未勝利のナダルに勝てるかどうか。自らの成長を示すとともに、それがグランドスラム制覇へのひとつのカギとなる――。

フェデラーの17勝に次いで、グランドスラム大会14勝の実績を誇るナダル。フェデラーの17勝に次いで、グランドスラム大会14勝の実績を誇るナダル。 試合中、選手がベンチでシャツを着替えると、スタンドから口笛が吹き鳴らされる。とりわけ、ラファエル・ナダル(28歳。スペイン/世界ランキング3位)がシャツを脱いだときは、そのボリュームがひと際膨れ上がり、スタンド全体が色めき立つ。

「テニス界一、セクシーな男」――"ラファ"の愛称で親しまれている前王者ナダルの、もうひとつの称号だ。洋の東西、男女を問わず、人々を魅了するその逞しく鍛え上げられた肉体は、「打倒フェデラー」のために築いてきた努力の結晶と言っていいかもしれない。

 並外れたパワーと、「すべてのポイントがマッチポイント」と言われるほどの、全力かつ隙のない試合運びは、"天才"ロジャー・フェデラー(33歳。スイス/世界ランキング2位)の技を切り崩すためのもの。ナダルが肉体の鍛錬を重ね、そこまでのテニスを確立させたのも、フェデラーの偉大さがあってこそ、だ。

 フェデラーの全盛時代(2004年2月~2008年8月)、ナダルはフェデラーが唯一勝てなかった全仏オープン(2005年)で初のグランドスラム大会を制し、トッププレイヤーとしての地位を築いた。その翌年(2006年)には、全仏オープン連覇を果たすと、「クレーコート・キング」の座に収まらず、ウインブルドンでも決勝進出(準優勝)。世界中を驚かせた。トップスピンのグラウンドストローカーである彼のプレイスタイルは、クレーでこそ威力を発揮するが、ボールが弾まず、ネットプレイ勝負になることが多い芝のコートでは通用しないと考えられていたからだ。

 しかしナダルは、翌2007年もウインブルドン決勝へ駒を進めた。決勝では再びフェデラーに敗れるも、前年の快進撃がまぐれでないことを証明した。そして2008年、ついにウインブルドン決勝でフェデラーを撃破。フェデラーの6連覇を阻止するとともに、芝の最高峰の舞台で頂点に立った。

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