神尾米が語る錦織圭「2015年は大変な1年になる」 (3ページ目)

  • 内田暁●構成 text by Uchida Akatsuki photo by AFLO

 ただ、トップ選手たちは、錦織選手との対戦を楽しみにしていると思います。例えば、ツアーファイナルズ(※)でのロジャー・フェデラー(スイス)は、錦織選手を徹底的に攻略するため、目の色を変えて戦っていました。1~2ゲーム目からあんなにガッツポーズをするフェデラーは、滅多に見ることがないです。

※ツアーファイナルズ=ATPワールドツアーの年間最終戦。1月からの年間ポイントランキングで上位8選手に出場権が与えられる。

 また、フェデラー戦を見た他の選手たちは、錦織選手との戦い方をあの試合から学んだのではないでしょうか。テニスは常に選手たちが一緒にツアーを回っているわけですから、研究や分析する時間は十分にあります。錦織選手が台頭してきた今の状況を、先輩選手たちはワクワクしていると思いますよ。

 そんなことを簡単に言ってしまいましたが(笑)、あのフェデラーやナダルたちをワクワクさせているだろうなと思える、今のこの状況がすごいです! きっとトップ選手たちは、「ケイと戦ったら、こうして攻めてやろう」と考えているでしょう。そして、もちろん錦織選手も、「そんな相手に引きずり下ろされてたまるか」と食らいついていくでしょう。その食らいつき方が、また我々ファンを感動させてくれるのだろうなと思います。だから、ぜひともビッグ4に食い込んでほしいですね。

 そして、日本の他の選手たちも、何人かは世界トップ50に入ってきてほしいと思っています。錦織選手があの体格(178センチ)で世界の大舞台まで行けたという事実は、他の日本人選手たちに大きな勇気と刺激を与えたはずです。

 私が現役のころは、(クルム)伊達さんがあの身体(163センチ)でも世界でやれるということを背中で示してくれました。だからこそ私は、プライドなんて関係なく、「伊達さんから全部盗み取ってしまえ」と思っていました。伊達さんがどんなスポーツドリンクを飲んでいるのか、何を食べているのか……そんなころまで盗もうと思っていたんです。

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