テニス界の新しい波。錦織世代が台頭中

  • 神仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

 2014年ウインブルドン男子決勝で、第1シードのノバク・ジョコビッチが、3時間56分におよぶ5セットの激戦の末、第4シードのロジャー・フェデラーを破って、3年ぶり2回目の優勝を果たした。同時に、ジョコビッチは、13年10月以来となる世界ランキングナンバーワンの座をラファエル・ナダルから奪い返した。

 27歳のジョコビッチが、安定感抜群のテニスとメンタルの強さを発揮したが、昨シーズンの自信喪失から復活して、2年ぶりにウインブルドンの決勝へ進出した32歳のフェデラーも見事だった。

 その一方で、経験豊富で実績も申し分のないふたりが、あらためて大きな存在感を示したが、準決勝にはフレッシュなふたりの顔があった。第8シードのミロス・ラオニッチと第11シードのグリゴル・ディミトロフ。ふたりは今回、23歳にして初めてグランドスラムのベスト4入りをした。

 196センチのラオニッチは、ツアー屈指のビッグサーバーで、時速220キロ以上のサーブを武器にしており、一発でウィナーを決めるストローク力もある。

「この2週間、たくさんの成功を収めることができた。今までウインブルドンでは(2回戦進出が最高で)連勝することができなかったけど、ベスト4に進めた」(ラオニッチ)

 一方、ディミトロフは、ツアーでめっきり数少なくなった片手バックハンドを使い、どのショットもタッチに優れたオールラウンドプレーヤーだ。ガールフレンドが、あのマリア・シャラポワということで有名でもある。

「準決勝にいけて嬉しい。安定したいいテニスができている。もちろんアップダウンはあるけど、いつでも自分のレベルを上げることに集中している」(ディミトロフ)

 このふたりに24歳の錦織圭を加えた3人が、今後グランドスラムの優勝戦線に加わり、近い将来、新時代を築くと注目されている。

 たとえば、初のトップ10入り時期で比較すると、ラオニッチが13年8月で当時22歳、錦織が14年5月で24歳、ディミトロフが14年7月で23歳、全員ここ1年で達成している。

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