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【車いすテニス】全仏優勝の上地結衣。途絶えかけたテニス人生 (3ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 吉村もと●写真 photo by Yoshimura Moto

 千川コーチは全仏前、「以前は感覚でテニスをしていたのが、確率や戦術を考えながらプレーするようになった。環境が整ったことはもちろん重要ですが、アスリートの自覚が出てきたのは大きいですね」と、上地の成長を表現していた。

 そうして一歩ずつ、確実に階段を昇り、苦しみながらもグランドスラムの全仏タイトルを手にした上地。千川コーチも「よく勝った」と頬を緩めた。だが、ふたりが目指すところは、もっと高いところにある。

「今の大きな目標はリオデジャネイロパラリンピック。今日優勝した瞬間は本当に嬉しかったけれど、リオへの過程にある、ひとつの試合として捉えます。これから第1シードになる試合が多くなる。守るのではなく、今まで通り攻めていきたい。進化し続けるプレーをしていきたい」(上地)

 千川コーチも、「今回は勝たせてもらった感じ。リターンも強化してきたが、それを本番で出すのは難しいと痛感した。本当の“世界一”に見合うように、これからしっかりと練習に取り組まないと」と表情を引き締めた。まっすぐに前を見つめるふたりの目には、未来のビジョンがしっかりと描かれている。

 なお、上地はワイリー(イギリス)と組んだダブルスでも、ロンドンのダブルス銀メダルペアのグリフォン・ファンクート組(ともにオランダ)を7-6(3)、3-6 、1-0(8)で破り、優勝。単複2冠を達成した。

 車いすテニスプレーヤー・上地結衣。新境地への挑戦が、ここから始まる。

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