2013.12.20

【車いすテニス】王者・国枝慎吾。「あえて変化を求めた年だった」

  • 荒木美晴●文・写真 text&photo by Araki Miharu

若手選手が台頭し、”戦国時代”の様相を呈している男子車いすテニス界。その頂点に君臨するのが、世界ランキング1位の国枝慎吾選手(29歳)だ。今シーズンを彼は「変化の年」と位置付け、自らにさまざまな試練を課すことで自分のテニスを追求した。改めてテニスに正面から向き合い、何を得たのか。その胸の内を聞いた。
1984年2月21日生まれ。2004年アテネパラリンピックのダブルスで金メダルを獲得すると、2008年北京パラ、2012年ロンドンパラではシングルスで金メダルを獲得している。今シーズン年間世界ランキング1位になり、国際テニス連盟が選ぶ2013年の「世界チャンピオン」(車いす部門男子)に選出された。<br  /></span>
―― 今年はグランドスラムの試合を落とすなど苦労した一方で、最終的には年間世界ランキング1位を獲得されました。今シーズンはどんな1年でしたか。

「パラリンピックが終わった後だし、何が何でも結果を出すという年でもなかったので、勝ちにこだわる試合、内容にこだわる試合と、今シーズンはいろいろ試しました。その中でどれだけできるのかを見たかったんですが、調子が上がらないことが多くて、苦労したシーズンでしたね」

―― 成績だけみると通算7敗しているんですね。近年では珍しい数字だなと思います。

「これほどの数字は最近ではないですね。右肘を手術した去年も含めて、この5年間では多くても3敗くらいだったので。そういう意味では、なかなか負けたシーズンだったなと。でも、自分の成長のためには調整する試合もやらならいといけませんから」

―― 具体的にはどういったことに挑戦したのですか?

「今年は中盤あたりからドライブボール、つまり、ちょっと浮かしたボールで前に詰めてノーバウンドで処理していくというショットを増やしていきました。最近は相手に自分のテニスを研究されていて、試合でも”読まれてるな”と思う場面が増えた。だから、今年のテーマは『変化』だったんです。ドライブボールを増やしたのも、今までのプレイにプラスアルファをしていかないと、これから殻を破ることが難しくなってくると感じたからです」

―― 何かを変えるということは、とても大変なことだと思います。

「たしかに、『変える』ことにちょっと臆病になっていたところがありました。それは結果を出しているからこそかもしれませんが、遅れをとらないために、変化をより意識しないといけないと思っています」