日本代表として。錦織圭が語った「デビスカップへの思い」 (2ページ目)

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

 オープニングマッチで、ストレート勝ちを収めた錦織は、時速202キロを記録したサーブや得意のリターンが良かったおかげで、グランドストロークのリズムが良く、最大の武器であるフォアハンドも、伸びのあるいいボールが打てていた。

「試合前は緊張もありましけど、しっかり練習してきて、どれだけいいプレイができるかという思いが大きかった。いい試合ができて、ほっとしている部分もある」

 当初、錦織は、シングルス2試合に加えて、ダブルスにも出場予定だったため、その練習も積んでいた。だが、初日の第2試合で、ダブルスパートナーの添田が5セットマッチの戦いで体力を消耗して敗れたため、大会2日目のダブルスは、伊藤竜馬/杉田祐一組が替わって出場した。これは、日本が事実上、コロンビア優位のダブルスを捨てて、最終日のシングルス2試合で勝利する作戦に切り替えたことを示していた。

「最初はもちろん(ダブルスに)出る気でいましたけど、(左)ひざが完璧ではないので......。ダブルスを落としたとしても、僕と添田君が(シングルスで)勝てる自信はあった」

 最終日(3日目)を迎えた時点で1勝2敗となり、コロンビアに王手をかけられていた日本は、もう負けられない状態だった。

「正直(日本チームの)流れは最悪でしたね」と語った錦織だったが、エース対決である第4試合で、約6000人のホームの観客の応援に後押しされながら、世界12位の力を見せつけて躍動した。自分から早く展開することを心掛け、相手に余裕を与えないキレのあるテニスを披露。そして、より強い気持ちで、絶対勝つと自分に言い聞かせながら錦織は戦い勝利した。

「シングルス2試合を終えて、とてもいいフィーリングをつかめてきている。僕自身としては、またひとつレベルアップできたかなと思う。精神的にも、テニスも良くなってきている」

 デビスカップで勝たなければいけないという思い、チームへの思い、日本を背負って戦う重み、さまざまな思いが錦織を奮い立たせ、錦織をさらに精神的に強くした。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る