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ラグビー日本代表は強くなっているのか? 来季の結果次第では名将エディーの退任も考えるべき (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【ディフェンスはプランがなかった】

 今回のイングランド戦では、少しプランを変えて裏のスペースへのキックを多用した。だが、パス&ランのラグビーを好むジョーンズHCは、シーズンを通してアタック重視のラグビーを試みた。

 セットプレーでは、強豪相手に通用する部分もあった。しかし、アタッキングラグビーを実行するために欠かせない接点・フィジカルのバトルで後手を踏み続け、勝つ流れに持っていくことができなかった。

 ジョーンズHCはこの1年について、語気を強めて言う。

「新しいクルマに乗っているような感じ。走り出しがうまくいっていない。ひとつうまくいっても、ほかの部品が壊れる。アップダウンが激しかった。何かが大幅に改善されたこともないが、何かが悪くなったこともない。若いチームなので、ひたすらプロセスをやり続けることが重要だ」

 6月に行なった単独インタビューでも、ジョーンズHCはこう語っていた。

「超速ラグビーを習得していくのは、時間がかかると自覚している。要所要所でいいプレーは見られるかもしれないが、2026年あたりにはプレーしたい形が継続的に、一貫性を持ってできるかな」

 超速ラグビーがいきなり浸透することは難しく、長期的スパンで考えていると言う。しかし、テストマッチは国と国との真剣勝負であり、もっともっと勝利に執着してほしかった。超速ラグビーに固執するあまり、今回のイングランド戦以外は大きな工夫が見られず、同じような展開で負け続けたのは残念でならない。

 BKでは年長の29歳CTB梶村祐介(横浜キヤノンイーグルス)は、現状について率直な意見を述べた。

「正直、選手は(コーチ陣から)降りてきたものをやるしかない。言葉選びは難しいが、お互いにもっと成長しないと、ここから伸びることはない。プランの変更が毎試合なくて、同じような展開で負けが続いていた感覚はあった。もっと修正してゲームに臨めた」

 アタック重視のジョーンズHCは、練習では7:3くらいの割合で攻撃の時間が多く、ディフェンス面は疎かになっているようにも見える。

「若い選手が多いなか、単発のフィジカルはある一方、我慢強さが欠けていた。正直、ディフェンスは『どこでボールを獲るか』というプランがなくて、相手のエラー待ちになっている。ディフェンスのゴールが見えなかった」(梶村)

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