明治大ラグビー部100代目主将の涙 「前へ」進み続けた廣瀬雄也が後輩に託す伝統の継承 (4ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【後輩たちには明治の伝統を継承してほしい】

 廣瀬は新チームが立ち上がった時、「100周年のプレッシャーを感じずにキャプテンをやっていきたい」と話していた。だが、例年以上にメディアの取材も多く、昨年11月はケガで1カ月間もチームを離脱する苦しい経験の末に「早明戦」も欠場となった。責任感が人一倍強い廣瀬にとって、重圧がなかったことは決してないだろう。

 ただ、廣瀬は最後まで100代目のキャプテンらしく「100周年という節目で、今のメンバーに出会えてうれしいし、まったく悔いはない。後輩たちはこの悔しさをバネに、もう100年続くように明治の伝統を継承してほしい」と前を向いた。

 誰もよりも紫紺ジャージーにプライドを持ち、『前へ』進み続けた廣瀬雄也のチャレンジは準優勝で終わりを告げた。日本一にこそなれなかったが、「このチームをいいチームにして、次の代に託したい」という廣瀬の強い思いは、きっと3年生以下の選手たちに受け継がれたはずだ。

プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

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