早稲田大キャプテン「セットプレーのところで今日も崩れてしまった...」世代トップの大学ラガーマン・伊藤大祐が振り返る4年間 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

【左手のテーピングに『No.1』と書いて臨んだものの...】

 福岡県出身の伊藤は、5歳からラグビーを始めた。同時に柔道もやっていたが、小学5年からラグビーに専念し、高校は神奈川県の強豪・桐蔭学園に進学。高校3年時はキャプテンSOとしてチームを牽引し、桐蔭学園初となる「選抜」「7人制」「花園」の高校3冠を成し遂げた。

 伊藤は誰もが認める、世代トップのラガーマン。その逸材が「展開力のあるラグビーが自分に合っている」として、早稲田大を次なる道として選んだ。

 だが、伊藤は1年生から主力として試合に出場するも、ケガを何度も繰り返し、3年生までファンの期待どおりの活躍はできなかった。今季キャプテンに就いた伊藤はそれを理解しており、「対抗戦には(過去3年間で)10試合も出ていない。昨季は試合勘、タックル、コンタクトも全然ダメだったので、今季はキャプテンとして春から体を当てて、グラウンドにずっと立ち続けたい」と意気込んでいた。

 伊藤を中心に4年生たちで考えた今季のスローガンは『WASEDA FIRST』。「最初のプレー、ひとつひとつのプレー精度にこだわるという意味と、日本一奪還と、早稲田のために早稲田を一番に考えようという思いを込めた」という。

 そして迎えたシーズン本番の秋、伊藤は主にFBとして関東対抗戦・全7試合に出場してチームを引っ張った。しかし、ライバルの帝京大には21-36、100回目の「早明戦」では明治大に38-58と敗れ、5勝2敗の3位で大学選手権に進んだ。

 大学選手権の3回戦は法政大(関東リーグ戦3位)に54-12で快勝。伊藤は「次の試合に勝たないと、その次はない。すべてをかける」と意気込み、左手のテーピングに『No.1』と書いて大阪に乗り込んだ。

 しかし、移動もあった中5日での強豪との試合では、勢いに飲まれて主導権を握れなかった。また、伊藤も相手の激しいマークにあって、得意のランでトライに絡むことができなかった。

「セットプレーのところで今日も崩れてしまった......。ハンドリングエラーも多かったが、練習からもあったので、そういうところが出てしまった。(中5日しか準備期間がなかったことは)言い訳にはならない。自分たちが(対抗戦で)明治大に負けたことがすべてです」

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