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ラグビー界の古い慣例を覆した「移籍は悪いことじゃない」梶村祐介のターニングポイントとなった「妻の後押し」 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 そういう意味で、チームを出てもう1回、モチベーションが高い状態でラグビーをしたいと思うようになりました。それが移籍を決断した経緯です」

── 移籍する時はかなり悩んだのでは?

「はい、相当に悩みましたね。サンゴリアスには亮土さんだけでなく、ギッツ(元オーストラリア代表CTBマット・ギタウ)もいたし、オーストラリア代表CTBサム・ケレビもいた。すごく恵まれた環境だったと思います。

 だから、簡単には答えを出せなかった。それまでは正直、『サンゴリアスでキャリアを終えよう』と考えていたので......。数年前は移籍するとは思ってもいなかったですね。

 その当時、妻のお腹の中に子どもがいたんです。そこで『移籍しようと思っている』と話したら、妻は『むしろ移籍したほうがいい』と言ってくれました。その言葉で『家族のサポートがあるならやっていけるな』と思い、決心がつきました。

 サンゴリアスとの契約は残っていました。でも、それを解消して移籍するという形を取らせてもらいました」

── キヤノンに来てからは、ほぼフル出場です。

「リーグがプロ化していくなかで、自分も勝負したいなと思っていました。移籍してよかったと改めて感じています。昨季も今季も、ほぼすべての試合で先発として出場することができましたので。出られない時を考えると、本当にこんな幸せなことはないと思っています。

 ラグビーは試合に出ていない選手がチームを支えていることも多いですが、プレーヤーである以上、やはりグラウンドに立たないといけない。『環境を変える』というのは、プレーヤーとして大事な選択肢のひとつです。

 僕の移籍をきっかけに、試合に出られなくてくすぶっている人に対して『移籍は悪いことじゃない』というメッセージを少しは伝えられたかな......。そういう意味では、いい移籍の例を作ってよかったなと思っています」

── トップリーグからリーグワンとなり、選手の移籍市場は活性化されましたね。

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