「明治愛」を胸に帝京大との大一番へ。オリンピアンWTB石田吉平には「隠し球」がある (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 その後は、自分に矢印を向けてチームに還元できればと思い、夏はひたすら個人トレーニングに精を出しました。あまり考えすぎずに、自分から行動することも心がけました。時間ができたら、グラウンドやウェイト場に足を運んでコミュニケーションを取ったりもしました」

―― 個人の話も聞かせてください。石田選手は大学生で唯一、セブンズの日本代表として昨年の東京五輪に出場しました。

「東京五輪に出場することはできましたが、『チームに貢献できたのかな?』というレベルでした。ただ、考えるスタンダードが変わって世界基準になったかも。(バーベルを上げる)クリーンやスナッチで瞬発力と体幹を鍛えたことが、昨季終盤のパフォーマンスにもつながりました。

 現在、体重は74~75kgくらい。僕とあまり身長が変わらない南アフリカ代表WTBチェスリン・コルビも体重が80kgくらいなので、80kgになってもスピードを維持したら世界基準になれる。だから体重は(スピードが落ちない)ギリギリまで攻めたい。

 たとえば、東京五輪時は(GPSの数値で)時速34kmくらいでしたが、スピードトレーニングを続けていて今は約35km。WTB松井千士(横浜イーグルス)さんやWTB松島幸太朗(東京サンゴリアス)さんは時速36kmくらいなので、僕もそこを目指していますし、コルビなどを模範としながら自分独自のステップを切れるようにもなりたい。

 来春からリーグワンのチームに所属する予定ですが、オリンピックに出場した経験を活かしたいですし、次のパリ五輪への覚悟・想いも大きい。パリ五輪まではセブンズに専念するつもりです。そしてラグビーをやっている限り、15人制でも日本代表に選ばれたい」

―― 同じ年齢のSO李承信(リ・スンシン/大阪朝鮮→神戸スティーラーズ)はすでに15人制の日本代表として活躍しています。

「承信、すごいですね! 中学の兵庫選抜時代、一緒にプレーしていました。同い年のWTB/FBメイン平(御所実→ブラックラムズ東京)もユース五輪でチームメイトでしたし、WTB根塚洸雅(法政大→スピアーズ東京ベイ)は同じ尼崎ラグビースクールの先輩。幼稚園のころから知っている幼なじみで、刺激をもらっています。2個下の帝京大のSH李錦寿(リ・クンス/2年/大阪朝鮮→)も尼崎ラグビースクールで一緒でしたね」

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