花園Vの東海大大阪仰星。日本一になるために変わったきっかけは「監督を疑え」の教えと数学教師からの「正解でなくてもいいのでは?」 (3ページ目)
【後輩たちに受け継いでほしい】
さらに昨年3月の卒部式で、こんなことがあった。昨年度のキャプテンCTB近藤翔耶(東海大1年)は後輩に向けて、ある言葉を残したという。
「湯浅監督を疑え」
自分たちで考えることの大切さを伝えたかったのだろう。
そこで湯浅監督は、生徒に指示する割合を意識的に下げることにした。それまで4分の3ほど湯浅監督から指示していた割合を3分の2に下げて、選手に考える自由・余白を多くした。さらに大会に入ると関与する割合を3分の1ほどに下げて、花園では生徒主体のチームとなっていた。
「間違ってもいい、思いっきりチャレンジしていいと伝えて、生徒が探求し、思考する。そのほうが僕も楽しいし、選手たちが(自ら)考えているので、応用になったときのスピード感があった」(湯浅監督)
薄田キャプテンは「監督に言われたことに対して受け身になるのではなく、本当に日本一になるために必要なことを自分たちで解釈して考えた」と話す。ライバル東福岡を組織的な守備で押さえ込んだ準決勝、そして自分たちで試合を組み立て、判断と展開の「はやさ」で國栃に勝利した決勝は、まさしくこの1年の集大成だった。
仰星では毎年、3年生が自分たちで決めるスローガンがある。今季は「不朽の仰星で日本一」だった。薄田キャプテンは「後世に語り継がれるような取り組みができたと思いますが、後輩がどう思ったか、引き継いでいってくれるか。監督の話を疑う、(自分たちで)考えることは後輩たちにも受け継いでほしい」と期待を寄せた。
「監督を疑え!」
選手たちが主体となって考えるラグビーを貫いた仰星が来季、どんなプレーを見せるか楽しみだ。
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