メンタルのことは「C・ロナウドに聞いてみたい」。横浜キヤノンイーグルス・小倉順平の冷静と楽観のラグビー論 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo byスポニチ/アフロ

 早大を卒業後は、歴史が浅く、これから伝統を作る過程にあるチームに魅力を感じてNTTコミュニケーションズに入社。当初は社員選手だったが2017年にプロ契約に移行した。その1年前にサンウルブズでプレーし、選手同士で話をするなか、ラグビーをするならプレーに専念できる環境で挑戦したほうがいいとプロへと気持ちが傾いていったからだった。2020年には活動をサンウルブズ1本に絞るが、この時経験した世界との対戦が、自らのラグビー観をさらに広げることにつながった。

「サンウルブズでの経験は貴重でした。海外のラグビーは、戦術面であまり見たことがないことをやってくるので、それをチームメイトと話をして理解し、吸収していったんです。もちろん、うまくいかないこともあるけど、『違うやり方をやったらよくなった』という感じで、トライ&エラーを繰り返して小さなことを積み重ねていった。そうして自分のラグビーの幅が広がっていきました」

 その当時、サンウルブズでコーチングコーディネーターをしていたのが、現在、横浜キヤノンイーグルスで監督を務める沢木敬介だった。サンウルブズが解散したあと、小倉がキヤノンを選択したのは、沢木監督の存在が非常に大きかった。

「サンウルブズでプレーしている時からいろいろ学び、もっと沢木さんに教わりたいと思ったのが大きいですね。沢木監督は、やることを統一させていくのがすごくうまいんです。今、キヤノンは新しいラグビー(の戦術)を(チームに)落としこんでいるんですが、それを言葉で明確に伝え、ダメなものはダメだとハッキリ伝えてくれる。選手にとっては、すごくわかりやすいですし、やりやすいですね」

 小倉のポジションは、スタンドオフである。チームの司令塔とも言われるポジションだ。

「スタンドオフに必要なことは、多彩なキック。パス能力。早い判断力、走力とラグビーをする上で全部の能力が必要です。チームメイトからの信頼も欠かせません。信頼がないと動いてもらえないので。あと、ピッチを上から俯瞰して見ているように指示を出さないといけないんですが、キックの種類が増えているので、今、そこに少し手こずっています(苦笑)」

 チームの同じポジションには、日本代表の田村優がいるが、小倉の特徴はどういうところなのだろうか。

「正直、特徴があまりないんですよ(苦笑)。どうするのかを早めにコールして、自分が抜いていくこともありますが、最近はチームとしてやることがクリアになってきているので自分が抜くシーンは減っていますからね。チームが動きやすいような指示を出すことは心がけています」

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