ラグビー日本代表、本気のアイルランドに完敗。高い授業料から学んだこととは? (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • photo by JRFU

 指揮官の言葉どおり、スクラムこそ奮闘したものの、ラインアウト、アタック、ディフェンス、接点とほかのすべてで劣勢だった。相手を上回っているエリアも少なかった。ラインアウトの中核を成すLO(ロック)のポジションにケガ人が続出し、本来はFL/No.8のジャック・コーネルセンが先発するほどLO不足だったことも響いた。

 オーストラリア代表戦でも課題となった接点でも常に後手を踏み、13回も反則を繰り返してしまった。中村は「アイルランドが接点でプレッシャーをかけてきて、自分たちがボールを持ってもすぐにターンオーバーされて、ペナルティが起きる状況になった」と唇を噛んだ。

 唯一の海外組であるFB(フルバック)松島幸太朗と、今春ニュージーランドで武者修行したNo.8姫野和樹は、アイルランド代表との実力差をこう振り返った。

「アイルランド代表のひとり目のボールキャリアーにタックルできなかったり、オフロードパスを通されたりして、ラインブレイクされた。アタックで相手のうまさが出ていた」(松島)

「アイルランドがすばらしいアタックをして、それに対して自分たちが受けてしまい、流れをなかなか掴めなかった。自分たちがいけなかった理由は、気持ちが足りなかったから。マインドセット(心構え)が足りなかった。それに尽きる」(姫野)

 2023年W杯に向けて残り2年を切ったなか、敵地でのテストマッチは厳しいレッスンとなった。キャプテンのラブスカフニは「まずこのゲームから、より強くなるために学ばないといけない。私はこのチームを信じている。今をちゃんと見て、次の試合にもしっかり集中していかないといけない」と前を向いた。

 ジョセフHCが好んで使っていた言葉がある。精神的抵抗力、不屈の精神を意味する「レジリエンス」だ。11月14日のポルトガル代表戦、そして20日のスコットランド代表戦は、まさしくそれが問われる戦いになる。

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