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稲垣啓太「満足したら、あっさり引退します」。
ブレずに豪快!侠気語録 (6ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji


「周りの音を遮断して、ひたすら静かな音を聴いて集中する」

 彼の繊細な一面が見える言葉だった。2016年の日本選手権決勝の直前、稲垣はショパンの『バラード第1番』を聴いていた。

 また、稲垣は「新潟愛が強い」ことでも知られている。2019年W杯に出場したスパイクには「NIIGATA」の文字が刻まれてあった。

 昨年5月、母校・新潟工高のグラウンドをラグビー部の樋口猛監督が天然芝にしようと動いていた。それを聞いた稲垣は、すぐに初期費用の全額を寄付することを決める。その時の言葉も、侠気にあふれるものだった。

「後輩のため、母校のために、できるんだったら。いくらでもいいので」

 金額を聞く前に、300万円の初期費用を負担することを決めた。

「新潟工業だけが強くなればいいというわけではない。芝生のグラウンドがあれば、他の学校も練習できるし、県外のチームが来てもいい。新潟県全体のレベルアップにつながる」

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