2019.10.28

南ア監督の作戦がズバリ。
日本でプレーしたポラードが成長を見せた

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 齋藤龍太郎●撮影 photo by Saito Ryutaro

 最後まで互いのプライドがぶつかりあった激闘の趨勢(すうせい)を決めたのは、フィジカル強国が誇るFWの推進力と、常に冷静さを保った司令塔の右足だった――。

 10月27日、神奈川・横浜国際総合競技場にてラグビーワールドカップ準決勝の2試合目が行なわれた。舞台に駒を進めたのは、過去2度優勝の「スプリングボクス」南アフリカ代表と、初の決勝進出を目指す「レッドドラゴンズ」ウェールズ代表。過去の対戦成績は南アフリカ代表が28勝6敗1分と大きく勝ち越しているものの、この4年間は欧州王者ウェールズ代表が4連勝中と勢いに乗っている。

この試合の最優秀選手賞に選ばれたSOハンドレ・ポラード 両チームとも強固なディフェンスがウリで、南アフリカ代表はSO(スタンドオフ)ハンドレ・ポラード、ウェールズ代表はSOダン・ビガーという優秀なキッカーを擁している。「ともに似たようなプレースタイル」(ポラード)なだけに、戦前から接戦が予想された。

 序盤はやはり、両チームともキックを軸に展開。互いがPG(ペナルティゴール)を決めて得点を積み重ねていく。前半はそんなヒリヒリとした状況が続き、南アフリカ代表が9-6で折り返した。

 だが、後半早々にウェールズ代表が9-9の同点に追いついた後、試合は大きく動く。後半16分、「相手の隙を見つけた」というポラードがラインブレイクしてチャンスを作り、最後はCTB(センター)ダミアン・デアリエンディが力強い突破で左中間にトライ。ゴールも決まり、16-9と再びリードを広げる。

 しかし、初の決勝進出に意気込むウェールズ代表も意地を見せる。後半24分、ゴール前で相手の反則を誘うと、PGを蹴るのではなくスクラムを選択して勝負に出る。そして、スクラムを押し込んでから左に素早く展開し、最後はWTB(ウィング)ジョシュ・アダムスがトライ。16-16の同点に追いついた。

 さらに後半32分、再びウェールズ代表に試合の流れが傾く。それを機に、ボールを継続したところで途中出場のSOリース・パッチェルが40メートルのDG(ドロップゴール)を狙った。ただ、キックはボールにジャストミートせず、残念ながらゴールに届かず。勝ち越し点を挙げることはできなかった。