2019.10.27

エディー・ジョーンズは後半重視でNZ撃破
「フィニッシャーを先に決めた」

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 これぞ勝負師の真骨頂だろう。確かな準備とハードワーク(猛練習)、緻密なゲームプラン。名将エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)率いるイングランド代表が、完璧な試合運びで、王者ニュージーランド(NZ)代表に19−7で完勝、決勝に進出した。

前回のW杯では日本を率いていたエディー・ジョーンズ

 26日の横浜国際総合競技場。ほぼ満員の6万9千人の観衆で埋まったスタンドから、イングランド代表の応援歌『スウィング・ロウ・スウィート・チャリオット』が流れる。ノーサイドの瞬間、コーチボックスの最後列で立ち続けていたジョーンズHCは口元にグッと力をこめていた。

 まだ満足していない顔だ。4年前のラグビーワールドカップ(W杯)で日本代表HCとして南アフリカを倒し、大喜びした時とはちがう。ジョーンズHCは記者会見で短く、言った。言葉に覇気が満ちる。

「まだ歴史は築いていない。来週、もっと、もっと、いい試合ができる」

 ジョーンズHCの野望はずばり、優勝である。世界一だ。だから、2017年5月、京都で組み合わせが決まった時から、この対戦を想定し、準備を積んできた。

 ジョーンズHCが述懐する。

「彼らの準備は1週間だ。我々の準備は2年半だった。(NZ対策を)無意識に染み込ませてきた。習慣を続ければ、よきプレーを維持することができる。習慣化されすばらしい試合だったと思う」

 最強のNZ代表オールブラックスに勝つためには何が必要なのか。ジョーンズHCはまず日本語で「ニュージーランドはゴッド(神様)ね。ゴッドラグビー」と言った。英語で説明する。

「何をすれば、相手のエネルギーが出てくるのか、を理解しないといけない。それをそぐ必要がある。相手のエネルギーをそぎ、自分たちの強みを生かす必要があった」

 つまりは、勝負の鉄則、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」だろう。個人スキルの高いNZに対しては、FW(フォワード)戦で劣勢に立ったり、ボールを奪取されたり、スペースを与えると手がつけられなくなる。だから、まずはFWがセットピース(スクラム、ラインアウト)、コンタクトエリアで優位に立たなければいけない。