1億2500万人の応援でチャージ。日本代表が神がかり的に強い (3ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • photo by Kyodo News

 田村は短く、言った。「練習してきたゲームプランも、自分たちも疑わない、です」

 勝因のスクラムもそうだ。長谷川慎スクラムコーチの指導通りにやれば必ず、イケるという自信が満ち溢れている。後半、スクラムを立て直した堀江がさらりと説明した。

「8人でまとまって押す。PR(プロップ)には"変に無理やり押しにいくのは止めてくれ"と言った。慎さんがやっている通りにやれば、大丈夫なんだ」

 4年前のW杯では南アフリカに大金星を挙げた次のスコットランド戦には大敗を喫した。でも、今回はアイルランドに金星を挙げても、チームの勢いは変わらなかった。確かに中日が前回は3日、今回は6日との違いはある。でも、チームとしての経験、成長も見える。

 堀江が「(4年前に比べ)時間があったので、しっかり準備できました」と言えば、松島も「今回はしっかりリカバリーができた」と強調した。自覚も増した。4年前と違い、選手たちは飲酒を控え、規律を持ち、コンディション作りに徹した。松島が続ける。

「まあ、飲んでも、せいぜい、ビールを1杯、2杯ぐらい。バカみたいに飲んでいる人はいませんでした」

 選手たちのたゆまぬ努力を間近で見てきたジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は試合後の会見でこう、漏らした。

「チームを誇りに思う」

 あと1つだ。決勝トーナメント(ベスト8)進出まで、あと1勝である。1次リーグ最後のスコットランド戦(13日・横浜)。因縁の相手だ。負けると勝ち点争いに持ち込まれ、1次リーグ敗退の可能性も生まれる。

 49歳のジョセフHCが子どものような無邪気な笑顔をつくった。

「私たちには素晴らしいチャンスがある。もう、ワクワクしている。1億2500万人多くが私たちを応援してくれているのをすごく誇りに思う。またチャレンジです」

 確かにスコットランドには伝統も意地もあろう。激闘は必至である。でも、今の日本代表には歴史を創造する喜びと力がある。膨らむ期待と重圧を楽しむメンタルの強さもある。ああ、次の決戦が待ち遠しい。

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