大畑大介が認める日本代表の強さ「やべえ、どうしよう」の選択がない (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

――日本の人々への期待は。

「ワールドカップ独特の雰囲気を、すこしでもみんなに感じてほしい。自国の選手が応援されるのは当然として、対戦相手のチームも応援してほしい。ウェールズ大会の僕なんか、ウェールズの人にとっては、それほど注目度の高い試合ではなかったと思うんです。それでも、あれだけの人々が試合を楽しんでくれたんです。ウェールズの対戦相手として、幸せを感じました。ということは、日本に来て、ワールドカップを体験される選手やファンに対し、あたたかく歓迎してほしいんです。僕にとってウェールズ大会がいい思い出になったように、海外の人に"日本大会ってよかったね"と感じてもらうことがすごく大事なことだと思うんです」

――さて、今年のラグビーワールドカップです。日本代表はどうですか。

「メチャクチャ強いです。もうプレーに余裕があるじゃないですか。(昨年11月の)ロシア戦(〇32-27)でも、逆転は強いチームじゃないとできないんです。あんな試合をしていたら、昔だったら負けています。けれど、今は勝ち切るんです。やっぱり、勝ち切れるチームは強いです」

――今年もフィジー代表、トンガ代表、米国代表に快勝し、好調の波に乗っています。

「もう、フィジーが弱いんちゃうのと思うくらいでした。いやいや、フィジーは強いって。日本の選手はいま、余裕を持ってプレーしていますよ。僕らが現役の頃は、同じプレーを選択するにしても、"やべえ、どうしよう"みたいな感じでやっていたんです。でも、今の選手たちは、それがない。引き出しの数も多いし、経験値も豊富だし、ちゃんとこうすればこうなると考えてのプレーなのです。このあたりは全然違いますね」

――どうして、そうなったのでしょうか。

「トップリーグでも、数多くの外国選手が日本に来日してくれました。今まで、日本のラグビー界がやってきたことが、少しずつですけど、力になってきたと感じています。プラス、2015年のワールドカップの経験によるマインドセット(心構え)ですよね。またスーパーラグビーのサンウルブズの経験であったり、ティア・ワン(上位10チーム)の国々との試合の経験であったり...。それがすばらしい日本の財産になっていますよね」

――確かに、スクラム、ラインアウトのセットプレーにしても、コンタクトエリアのフィジカルにしても日本は向上しています。

「そこに不安がないんです。ラグビーの基本的なことは、そこなんです。僕がボールを持って走れたのも、フォワードのおかげだったんです。僕は最後、トライをとるための仕事をするだけでした」

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