日本代表が誇るウィング3人衆。
それぞれの特殊能力は強力な武器だ

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 8月29日、ラグビーワールドカップ日本大会に出場する日本代表の最終メンバー31名が発表される。ただ、そのメンバー入りに「ほぼ当確」と目されているのが、個性豊かなジェイミー・ジャパンが誇るWTB(ウィング)陣だ。

 過去最高タイの世界ランキング9位まで上げた日本代表を率いるジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が、「Xファクター(特殊能力)を持っている」と手放しで称える3人がいる。ステップに長けた「マツ」ことWTB/FB(フルバック)松島幸太朗(サントリー)、スピードが自慢の「ケンキ」ことWTB福岡堅樹(パナソニック)、そしてベンチプレス150kgを上げる「マノ」ことWTBレメキ ロマノ ラヴァ(Honda)だ。

トップスピードに入るまでの速さは世界レベルの福岡堅樹トップスピードに入るまでの速さは世界レベルの福岡堅樹 7月末から8月にかけて、日本代表はワールドカップ前哨戦にあたる「パシフィック・ネーションズカップ(PNC)」に参戦した。格上のフィジー代表、フィジカルが武器のトンガ代表、バランスのいいアメリカ代表。いずれも強敵ぞろいだったが、見事に3連勝を成し遂げて5年ぶりの優勝を果たした。

 3試合で計15トライを挙げたが、そのうち6トライがWTB陣によるもの。その点では、宮崎から試してきた新しい戦術がしっかり遂行できたと言えよう。なかでも、3戦連続でトライを挙げた福岡の韋駄天ぶりは秀逸だった。

 福岡は、2015年のワールドカップと2016年のリオ五輪に出場している、日本で唯一の選手である。2020年の東京五輪を最後に、選手を引退して医者を目指すと決めている。

 トップスピードに入るまでの速さは世界レベルと称される福岡は、自身の役割をこう語る。「(WTBは)内側に積極的にボールをもらいにいくよりも、(サイドライン際に張って)フィニッシャーの役割が多くなってきた。決定力の部分では、いい結果が出せたと思います」。

 アタックを担当する松島は、PNCの初戦と2戦目でトライを奪取。さらには3試合目も、最初から最後までプレーした。計240分、フルに出場して、リーダーとしての役割を全うしたと言えよう。

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