苦しむサンウルブズのチームづくり。当落線上の選手たちが感じた困惑 (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 サンウルブズに初合流してまだ10日ほどだった。チーム間での連携をとるのには時間がなさすぎた。「もう少し、早く(サンウルブズに)来たかったです」と小声で漏らした。

 試合はサンウルブズがキックオフからノーホイッスルトライで先制した。だが、チーム力の差ははっきりしていた。個々の力量はともかく、チームの連携、チームの結束でも見劣りした。しかも、肝心のスクラム、ラインアウトのセットプレーでやられた。

 サンウルブズは相手ボールのスクラム7本のうち、5本もコラプシング(故意に崩す行為)の反則をとられた。相手1番(左PR=プロップ)がステップアウトして回し気味に押してきたのに対応できず、崩されてしまった。

 右PRの浅原拓真は「ちょっと抑えられなかったですね」とぼそぼそ語った。

「狙われている感はあったんですけど、そこで打開できるほどのスキルとパワーが足りていませんでした。相手がこだわって押してくると、僕が浮いちゃって...」

 31歳の浅原がサンウルブズに合流したのは3月だった。それまでの日本代表候補合宿での長谷川慎スクラムコーチと、サンウルブズのスクラムの組み方は異なるようだ。「結構、違う」と説明する。

「シン(長谷川)さんのスクラムは8人でガチッと組ませるスクラム、こっちは個々でやっている感があります。腰の位置の高さなど、徹底できませんでした」

 スクラムは8人一体が基本だ。フォワードが試合ごとに替わってきたサンウルブズではどだい、呼吸や細部を合わせるのは難儀だろう。身長179cmの体重113kg。路上で車の下敷きになって話題を提供したことのあるタフガイもさすがに元気がない。

 浅原も日本代表入りを目指している。アピールは?

「スクラムでここまで不安を残すと厳しいと思います。あと2試合あるので...」

 途中から入った左PRの三上正貴も戸惑っていた。フロントロー陣で先週は腰の位置、今週は肩のラインにこだわったそうだが、うまく相手に対応できなかった。「厳しかったですね」と声を落とした。

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