2019.05.27

「SH第3の男」を襲った不遇。
W杯出場へ曲折を経た思いをぶつける

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 日本を本拠地とするスーパーラグビーチーム「サンウルブズ」は、3月29日にアウェーで2勝を挙げたのち、その後5連敗と苦しんでいる。1週間のBYEウィーク(お休みの週)を挟み、5月25日、オーストラリアの強豪レベルズを秩父宮ラグビー場に迎えた。

 真夏を思わせるような暑さの影響もあり、試合は両者ともにミスが目立った。プレーオフ進出争いを演じている好調なチームを相手に、サンウルブズは決定力を欠く。結果、7-52で敗れた。

今季サンウルブズのSHとして安定したプレーを見せている茂野海人 ただ、その炎天下のなか、奮闘を見せた選手もいる。開幕からサンウルブズで日本人最多の9試合に出場している、SH(スクラムハーフ)茂野海人(トヨタ自動車)だ。

 28歳の茂野は、自分から仕掛けるランが持ち味。しかし、攻守においてチーム全体が波に乗れず、なかなか茂野の持ち味は発揮できなかった。試合前、「スペースがあれば自分から仕掛けたい」と語っていたものの、レベルズに押し切られてしまった。

 そのレベルズのSHは、オーストラリア代表100キャップを誇るウィル・ゲニア。「うまい選手なので、彼からプレッシャーはかけられていた。彼はプレッシャーのなかでもいい動きをしていたので、そこは見習う部分です」。世界的な選手と対峙して、感じることも多かったようだ。

 9月に開幕するラグビーワールドカップに向けて、SHのポジション争いはファンが注視するポイントのひとつだろう。現在、日本代表を率いるジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)から信頼が厚いのは、日本人初のスーパーラグビー選手である田中史朗(キヤノン)と、リーダーシップに長けた流大(ながれ・ゆたか/サントリー)のふたりだ。

 ワールドカップの最終スコッドは31名。3人目のSHは誰になるのか――。2015年のワールドカップを経験している日和佐篤(神戸製鋼)、ランに長けた内田啓介(パナソニック)などライバルの多いなか、茂野は一歩リードしていると思われる。