大阪桐蔭で根尾昂と同じ6番。ラグビー部の怪物2年が花園優勝に貢献 (2ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 奥井は食べ放題の焼き肉店で、2時間ずっと食べ続けるほどの大食漢。また、大阪桐蔭では朝400g、昼・夜700gの白米を摂取する食育メニューが推進されているため、90kg台後半だった体重はすぐに100kgを超えたという。さらに、特化したフィジカルトレーニングでますます身体は大きくなり、1年の夏にはレギュラーの座を射止めた。

 身長178cm、体重107kg。恵まれた体格を誇る奥井は、昨年度の花園でも力強いボールキャリアで、大阪桐蔭の中軸として存在感を放っていた。しかもルーキーながら、スピードやスキルを求められるBKではなく、フィジカルが必要とされるFWとして大活躍。「本当に1年生なのか?」と関係者が目を疑うほどの突出したプレーを連発していた。

 だが、昨年度の決勝では後半10分までリードするものの、ライバルの東海大仰星に逆転負け。奥井は決勝後、「来年は絶対ここ(決勝に)に戻ってきて、越えられるようにしたい」と人目をはばからずに号泣した。

 今年のスローガンは『越』。昨年度のチーム・結果を「越える」という意味だ。そして再び、花園の舞台に戻ってきた大阪桐蔭は春の選抜大会で敗れた桐蔭学園にもリベンジし、頂点を掴み取った。

 奥井自身はこの1年で、フィットネスが明らかに上昇したという。1日1800gの白米を食べることを続けながら、ベンチプレスは100kgから120kgへと20kgも増加。パワー面でさらに自信を深めた。

 また、技術面でもプレーの幅を広げることも試みた。「まっすぐ当たるだけでは上にはいけない」と考え、ショートステップを踏んだり、ショートパスを使って味方を前に出すようにもなった。

 そしてメンタル面では、責任感も芽生えてきたという。「キャプテンではないですけど、自分もキャプテンだという強い意識を持ってやるようにしていた」と強い覚悟で花園に臨み、FWの先頭に立ち続けた。「自分にマークが来れば、他の選手が空く。どれだけ厳しい状態でも縦に当てて前に出れば、(外に)スペースが空いて仲間がゲインを取ってくれることを信じていました」。

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